「まだ完全ではないのに、リハビリが終わりになりました」。病院を出たあと、この宙ぶらりんな感じを抱えたままの方は少なくありません。歩けてはいる。でも前と同じには動けない。

終わったのは、回復ではなく保険で数えられる期間のほうです。この記事では、リハビリが終わる制度上の理由、卒業後に落ちる3つのもの、そして次に進む先をどう選び分けるかをお伝えします。

リハビリが終わる理由

まず、いちばん誤解されやすいところを整理します。ここを知らないままだと、自分の身体に見切りをつけてしまいます。

終わりは日数で決まります

医療保険で受けられるリハビリテーションには、算定日数の上限が定められています。目安は、骨折や関節の手術など運動器の場合で150日。脳血管の疾患では180日です。数え始めるのは通院を始めた日ではなく、発症した日や手術を受けた日になります。

つまり終了の合図は、身体の状態ではなくカレンダーから出ています。医師が引き続き良くなる見込みがあると判断した場合には、上限を超えても月13単位まで続けられる決まりもあります。それでも、週に何度も通っていた頃と同じ量には戻りません。

病院のゴールは生活の自立

もう一つ、目標の置き場所の違いがあります。病院のリハビリが目指すのは、日常生活を自分で送れる状態です。歩く、階段を使う、着替える、トイレに行く。ここに届いた時点で、医療としての役割は達成されています。

一方で多くの方が本当に戻りたいのは、その少し先です。荷物を持って通勤する。孫を抱き上げる。趣味の運動に戻る。これらはもともと保険の枠の外にあります。退院時に感じる物足りなさは、あなたの努力不足でも回復の頭打ちでもなく、ゴール設定の差から生まれています。

回復が止まったのではない

終了時に「あとは自主トレで維持してください」と言われた方も多いはずです。この言葉が、回復の限界を意味しているとは限りません。動ける範囲や力の入り方は、そのあとの生活での使い方によって変わっていきます。維持だけを前提にする必要はありません。

卒業後に落ちる3つ

卒業してから調子を崩す方には、共通した理由があります。落ちるのは筋力そのものより先に、次の3つです。

1つ目|通う頻度

病院では、週に2〜3回という頻度と時間が、予定として決まっていました。退院するとこの枠が消えます。自宅での運動は、やらなくてもその日は誰も困りません。だから後回しになり、気づけば週1回、月に数回と減っていきます。

意志が弱いわけではありません。予定表から消えたものは実行されない、というだけです。この仕組みは、リバウンドが起きる仕組みと防ぎ方で扱っている「意志ではなく環境を変える」という考え方と同じです。

2つ目|負荷を決める人

入院中は、どこまでやってよいかを他人が決めていました。今日は何回まで、この動きはまだ早い。この判断役が、家に帰ると誰もいなくなります。

結果として、二つの方向に分かれます。ひとつは、痛みが怖くて量を減らしていく方。もうひとつは、調子が戻ってきた実感から一気に増やし、数週間後に痛みが出る方。どちらも運動そのものではなく、量を決める人がいないことが原因です。

3つ目|評価される機会

病院では毎回、誰かが膝の曲がりを測り、歩き方を見ていました。自分では気づけない左右差も、外から見れば分かります。卒業するとこの目がなくなり、変化に気づけるのは痛みが出てからになります。

痛みは、いちばん遅く出るサインです。その手前で、動きの左右差や可動域の狭まりが先に起きています。定期的に測る機会があるかどうかで、3か月後の状態は変わってきます。

次に進む先の分け方

卒業後の行き先は、大きく4つあります。費用も対象者も違うので、まず全体を並べます。

行き先使える方費用の目安向いている段階
通所・訪問
リハビリ
要支援・要介護の
認定を受けた方
介護保険の
自己負担割合
生活動作に
まだ不安がある
自費
リハビリ
制限なし1回60分で
8,000〜15,000円
程度が一般的
動作そのものに
課題が残る
理学療法士の
いる運動施設
医師の許可が
出ている方
自費
(月額制が中心)
動けるが
不安・疲れやすい
一般的なジム
・自主トレ
制限のない方自費
(比較的低額)
不安なく
動けている

※スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧いただけます。※費用は一般的な目安であり、施設により異なります。

先に確認する3つのこと

どこを選ぶかは、次の3つで絞り込めます。

  1. 医師から動作の制限が出ているか。出ている場合は、その内容を守れる場所を選びます
  2. 要支援・要介護の認定があるか。認定があれば介護保険のリハビリが使えます。認定がない方や65歳未満の方は、実質的に自費の選択肢になります
  3. 目標が生活動作か、その先か。歩く・階段といった動作に不安が残る段階と、動けるうえで余力を増やしたい段階では、必要な内容が違います

ジムを選ぶ場合に見るところ

運動施設を選ぶなら、担当者が国家資格を持っているか、初回に身体を評価する時間があるかの2点は確認してください。手術や大きなケガの後は、種目の選び方よりやらない動作を決められるかのほうが重要になります。理学療法士のいるジムとは武蔵浦和のジムの選び方で、確認の仕方を詳しく整理しています。

「まずは身体をゆるめてもらいたい」という方は、整体とジムの違いもあわせてご覧ください。費用の考え方はパーソナルジムの料金相場と月額の目安に単位別の金額をまとめています。

理学療法士の視点|残るもの

ここからが、病院の現場にいた側からいちばんお伝えしたい部分です。

最後まで残るのは動作の質

リハビリで戻っていく順番には、傾向があります。まず関節の動く範囲、次に筋力、最後に動作の質です。退院の判断は「日常生活が送れるか」で行われるため、動作の質にはまだ課題が残ったまま卒業することが珍しくありません。

「歩けている」ことと「左右を同じように使えている」ことは別です。片脚に体重が乗り切らなくても、反対側が補えば歩けてしまいます。歩行として成立しているので、本人も周囲も気づきません。

かばい動作は自然に消えない

痛みが引いても、痛かった時期に身につけた動き方はそのまま残ります。臨床でよく見かけるのは、次のようなパターンです。

  • 膝の手術後:階段を降りるとき、体重を手すり側に預けたまま身体を落とす
  • 腰を痛めた後:床の物を拾うとき、股関節ではなく背中を丸めて届かせる
  • 肩を痛めた後:腕を上げるときに、先に肩をすくめて持ち上げる

どれも、痛みを避けるためには合理的な動きでした。問題は、痛みがなくなっても身体がその方法を覚えたままだという点です。腰をかばう動きが残っている方は腰痛の原因と対策、骨盤が前に傾いたまま固定されている方は反り腰で腹筋より先に見る3か所、肩をすくめる癖が残っている方は肩こりの原因と解消法が、そのまま次の一手になります。

半年後に別の場所へ出ます

かばい動作が残ると、負担は反対側や隣の関節に寄っていきます。膝をかばえば反対の膝と腰へ、腰をかばえば背中と首へ。もとの場所が落ち着いた半年後に、まったく違う場所の痛みとして出てくることがあります。

だから卒業後の最初の課題は、重さを増やすことではありません。左右差を見つけて、動きを作り直すことです。硬さが気になる方は伸ばす場所を決める3つの質問を、背中が丸まったまま戻らない方は猫背改善の5つの順番を先にご覧ください。負荷を上げるのは、そのあとの段階です。フォームの土台については筋トレ初心者のフォーム解説にまとめています。

続けるための進め方

再開の仕方には、いくつか押さえどころがあります。

まず頻度、次に内容

入院中と同じ週2回を、3か月続けられる形にするのが最初の目標です。何をやるかより、いつやるかを予定として固定するほうが先になります。曜日と時間を決め、生活の動線に組み込んでください。通勤の行き帰りや、子どもの習い事の待ち時間に合わせると続きやすくなります。

頻度を保つ工夫としては、通う回数の上限がないプランを選ぶ方法もあります。当店の通い放題プランは、トレーニングと整体を同じ月額の中で組み替えられるため、体調に波がある時期でも配分を変えて続けられます(通い放題プランの使い方)。

記録するのは3項目だけ

細かいノートは続きません。次の3つで足ります。

  • その日の痛みを0〜10の数字で
  • やった種目と、回数・重さ
  • 翌日の状態(変わらない/少し重い/痛みが増えた)

判断の基準はシンプルです。翌日まで痛みが残るなら、その日の量は多すぎました。運動中に痛くなかったかどうかではなく、翌日で見てください。

やらないほうがよい進め方

  1. 痛みが出た日に「動かして流す」と考えて、同じ量を続ける
  2. 左右差を見ないまま、重さだけを上げていく
  3. 調子がよいからと、医師から出ている制限を自己判断で外す

3つ目は特に、手術を受けた方に起きやすいものです。制限は痛みの有無ではなく、組織が付く時間で決まっています。痛くないから外してよい、とはなりません。

医療機関に戻るべきサイン

次にあてはまる場合は、運動より先に整形外科など医療機関へご相談ください。当店は医療機関ではないため、診断や治療は行えません。

  • じっとしていても強い痛みが続く
  • 手足のしびれがある、力が入りにくい
  • 手術をした場所の痛みや腫れが、日を追って強くなる
  • 関節に熱をもっている、赤みがある
  • 発熱や体重減少をともなう

また、運動を始めてよいかどうかの判断は主治医が行います。制限が出ている方は、内容を確認したうえでお越しください。

まとめ

リハビリの終了は、回復の終わりではありません。終わったのは保険で数えられる日数と、「家で暮らせる」というゴール設定のほうです。卒業後に落ちるのは、頻度・量を決める人・評価される機会の3つ。そして最後まで残りやすいのは、筋力ではなく動作の質です。まずは週2回の枠を確保し、左右差の確認から始めてください。しびれや安静時の痛みがある場合は、運動より先に医療機関へご相談ください。

武蔵浦和のパーソナルジムLIMITED武蔵浦和店は、JR武蔵浦和駅から徒歩3分のジムです。さいたま市南区・中浦和・南浦和・北戸田・戸田市エリアから、通院を終えたあとの運動を続けたい方や、子育て中の方が通われています。トレーナーは全員が理学療法士で、初回に姿勢と動作を評価し、いまの段階でやることとまだやらないことを分けてお伝えします。産後の身体で再開する場合の順番は女性のパーソナルジム選びの基準もご覧ください。

ウェアのレンタルとウォーターサーバーがあり、手ぶらで通えます。キッズスペースもあるため、お子様連れでもご利用いただけます。営業時間は8:00〜22:00です。

次に何をすればよいか分からないときは、60分の体験トレーニングで姿勢と動作のチェックを受けてみてください。予約は下のボタンのほか、公式LINEから24時間受け付けています。運動が久しぶりの方も、いまの身体を測るところから始めましょう。

よくある質問

病院でもらった自主トレは、続けていてよいですか?

しばらくは続けて構いませんが、内容は途中で見直す前提のものです。渡された内容は、退院時点の身体に合わせて量と種類が決められています。退院から時間がたって動ける範囲が広がると、同じ種目では負荷が足りなくなります。目安は、10回を3セット行っても翌日にまったく手ごたえが残らなくなったときです。その段階では、回数を増やすより種目を切り替えるほうが変化が出やすくなります。ただし手術を受けた方や、医師から動作の制限が出ている方は、自己判断で内容を変えないでください。次の受診のときに「この運動を続けてよいか」「増やしてよいか」を確認するのがいちばん確実です。

リハビリが終わってから何か月も空いてしまいました。今から始めても遅いですか?

遅すぎるということはありません。ただし、空いた期間が長いほど、再開時の入り口は慎重にする必要があります。動かない期間が続くと、筋力だけでなく、関節を動かせる範囲や、動きに対する自信も落ちていきます。ここで「前はできたから」と当時と同じ量から再開すると、痛みが出て中断する原因になります。おすすめは、まず自分の今の状態を測り直すことです。左右で同じように体重を乗せられるか、しゃがめる深さは左右で違わないか。当店の体験トレーニングでも、この確認から始めています。空白があること自体は、進め方を決めるうえで不利にはなりません。

ジムに通ってよいか、主治医には何と聞けばよいですか?

「運動してよいですか」だけだと、答えが人によって変わってしまいます。具体的に3つ聞いてください。1つ目は、禁止されている動作や角度があるか。2つ目は、重りを持つ運動を始めてよいか、始めてよい場合の上限の目安。3つ目は、次に受診したほうがよいのはどんな症状が出たときか。この3つが分かれば、運動を担当する側は安全な範囲を組み立てられます。当店は医療機関ではないため、診断や治療、医師の指示の変更は行えません。制限の内容をお持ちいただければ、その範囲の中でできることをご提案します。

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