「マンツーマンで見てくれる人」。パーソナルトレーナーの説明として、たいていはここで終わります。ただ、隣に立って何を見ているのかまでは、受ける側からは分かりません。
お金を払う前に知りたいのは、そこだと思います。この記事では、トレーナーの仕事の中身、セッション中に実際に見ている5つのこと、資格表記から読み取れること、担当と指名の仕組みまでをお伝えします。
パーソナルトレーナーとは
まず仕事の輪郭からです。ここがずれていると、体験に行っても何を見ればよいか分かりません。
教える人ではなく決める人
トレーニングで決めることは、突き詰めると3つしかありません。どの種目をやるか・何キロを何回やるか・どう動かすかです。
このうち最初の2つは、調べれば自分でも決められます。動画も本も十分にあります。残る3つ目だけが、自分では決められません。理由は単純で、動いている自分の姿は自分から見えないからです。
鏡があるじゃないか、と思われるかもしれません。ただ鏡に映るのは正面だけです。しゃがんだときに骨盤がどちらへ傾いたか、背中が丸まり始めたのが何回目だったかは、正面からは分かりません。自分でフォームを確認する限界については筋トレ初心者がまず整えるフォームの基本でも触れています。
つまりパーソナルトレーナーは、教える人というよりその場で判断を出す人です。今日はここまで、この動きは今はやめておく、重さより先に姿勢を直す。この判断を毎回出しているのが、一番の仕事です。
1回60分の中身
セッションの時間は、指導だけで埋まっているわけではありません。実際の内訳はおおよそこうなります。
- 確認:前回からの体調・痛みの有無・生活の変化を聞く
- 評価:動きを見て、その日の身体の状態を測る
- 調整:今日のメニューを、聞いた内容と評価に合わせて組み替える
- 指導:実際に動きながら、その場で修正する
- 翌日以降の指示:家でやること、やらないことを伝える
意外に思われるのが、メニューが当日その場で変わることです。事前に組んだ内容をそのまま実行するのは、あまり良いやり方ではありません。睡眠が足りていない日、腰が張っている日に、予定どおりの重さを扱う理由がないからです。
セッション外の仕事
トレーナーの仕事は、60分が終わったところで止まりません。外側にも同じくらいの量があります。
記録の整理がその中心です。前回どの重さで何回できたか、どこで動きが崩れたか、どの声かけで直ったか。これが残っていないと、次回は毎回ゼロから始まります。「前回より少しだけ進める」という設計は、記録がなければ成り立ちません。
加えて、食事や生活のご相談への対応があります。連絡手段を用意している店舗では、通っていない日の質問にも答えます。当店も公式LINEでご相談を受け付けています。
トレーナーが見る5つ
ここが本題です。「フォームを見る」という一言の中身を、5つに分けます。体験に行かれるときは、この5つを聞かれているか・見られているかを確かめてみてください。
| 見ているもの | 具体的に確かめること |
|---|---|
| 動く範囲 | 股関節や肩が どこまで動くか |
| 止まる場所 | 動きが止まった先を どこが肩代わりするか |
| 左右差 | 体重の乗り方 しゃがめる深さ |
| 力の順番 | お腹が先か腰が先か 息を止めていないか |
| 翌日の残り方 | 狙った場所に残ったか 別の場所に出ていないか |
※スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧いただけます。
動く範囲と止まる場所
最初に見るのは、関節がどこまで動くかです。ここが分からないまま種目を決めることはできません。
たとえばスクワットで深くしゃがめない方がいたとします。原因は筋力とは限りません。足首が曲がる角度が足りないだけのこともあります。この場合、回数を増やしても深さは変わりません。足首から手をつける必要があります。
そして、より重要なのが2つ目です。動きが止まったあと、身体は必ずどこかで帳尻を合わせます。股関節が曲がりきらなければ腰が丸まる。肩が上がりきらなければ腰が反る。これを代償といいます。伸ばす場所と原因の場所がずれる仕組みはストレッチで伸ばす場所の決め方でも扱っています。
左右差と力の順番
3つ目は左右差です。両足で立っているつもりでも、体重は片側に多く乗っていることがあります。ご自身では、まず気づけません。左右の差が大きいまま重さを増やしていくと、乗っている側の負担だけが積み上がります。
4つ目は、力が入る順番です。同じ動作でも、お腹に先に力が入る方と、腰の筋肉が先に働く方がいます。後者のまま続けると、腰の張りが抜けにくくなります。腰の張りと反り腰の関係は反り腰で腹筋より先に見る3か所で詳しく書いています。
あわせて呼吸も見ます。力を出すときに息を止めてしまう方はとても多く、そのままでは血圧が上がりやすくなります。「吐きながら上げる」だけで動きが変わる方は少なくありません。
翌日どこに残ったか
5つ目は、セッションが終わったあとの話です。ここを聞くトレーナーは、意外と多くありません。
翌日にどこが張ったかは、狙った場所に効いたかどうかの答え合わせになります。お尻を使う目的でやった種目なのに、太ももの前だけが張ったのなら、動き方がずれていた可能性があります。腰に残った場合はなおさらです。
ですので、次回の冒頭で「どこに残りましたか」と聞かれるのは、雑談ではありません。前回のメニューが正しかったかを確かめる作業です。逆に言えば、この確認がない場合、同じずれが翌週も繰り返されます。
資格で分かること
「資格を持っているか」は、多くの方が最初に気にされる点です。ただ、調べても出てくるのは資格を取る側の情報ばかりで、受ける側がどう読めばよいかは書かれていません。ここを整理します。
国家資格と民間資格
まず、この仕事に必須の資格はありません。名乗るだけなら資格は要りません。そのうえで、資格は大きく2種類に分かれます。
- 国家資格:理学療法士・作業療法士・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・看護師など。養成課程の年限と学ぶ範囲が法令で決まっており、国家試験があります
- 民間資格:NSCA-CPT、NESTA-PFT、JATI-ATIなど。認定するのは各団体で、出題範囲・更新の有無・実技試験の扱いは団体ごとに違います
どちらが上ということではありません。決まり方が違う、というだけです。国家資格は範囲が法律で定められているぶん、名称から学んだ内容をある程度推測できます。民間資格は団体ごとに幅があるので、名称だけでは中身が読み取りにくくなります。
資格が保証する範囲
ここが誤解されやすいところです。資格が示しているのは「何を学んだか」であって「うまく指導できるか」ではありません。
知識と、それを目の前の一人に合わせる技術は別のものです。解剖学を知っていることと、その方のしゃがみ方を見て原因を絞り込めることは、同じではありません。ですので、資格の一覧だけで判断するのはおすすめしません。
逆に、資格から読み取れることもあります。評価の手順を学ぶ資格を持っている方なら、初回に測定から入る可能性が高くなります。栄養が中心の資格であれば、食事の相談に強い可能性があります。資格は看板ではなく、その人の得意な入り口を示す目印と考えると読みやすくなります。
体験で聞く3つの質問
資格の名前を調べるより、直接聞いたほうが早いことがあります。体験のときにお使いいただける質問を3つ挙げます。
- 「今日、私の身体で何を測りましたか」——測っていない場合、メニューは一般論で組まれています
- 「今はやらないほうがよい動きはありますか」——できることだけを並べる説明より、やらない動きを挙げられるほうが身体を見ています
- 「これは何のためにやる種目ですか」——目的が言えない種目は、その方の課題から出てきたものではない可能性があります
2つ目が特に効きます。「何でもできますよ」という答えは頼もしく聞こえますが、痛みや既往のある方にとっては歓迎すべき答えではありません。ジムそのものの選び方はジムの4タイプごとの向き不向きにまとめています。
担当と指名の仕組み
意外と確認されないまま入会されるのが、ここです。同じ料金でも、店舗によって仕組みが違います。
毎回同じ人が見るか
担当が固定されるかどうかで、進み方は変わります。固定される場合の利点は、前回との差に気づきやすいことです。可動域や左右差の変化は数値になりにくく、記録より「先週と違う」という感覚のほうが早いことがあります。
一方、替わることにも利点があります。毎回同じ人が見ていると、その癖に見慣れてしまうためです。別のトレーナーが入ると、見落としていた点に気づくことがあります。
おすすめは、基本は固定・ときどき別の人にも見てもらう形です。入会前に「担当は固定できますか」「替えたいときはどう伝えればよいですか」の2点を確認しておくと、後から言い出しにくくなる状況を避けられます。
合わないと感じたら
相性が合わないと感じること自体は、珍しくありません。説明の速さ、声かけの量、追い込む強さの好みは人それぞれです。
ここで大事なのは、我慢して続けないことです。合わないまま通うと、身体の問題ではない理由で足が遠のきます。通う理由が消えていく仕組みはリバウンドを繰り返さない5つの手順で書いたものと同じです。
伝え方は、人柄ではなくやり方を主語にすると角が立ちません。「説明をもう少しゆっくりお願いしたい」「追い込むより丁寧に確認したい」。この形なら受け取る側も調整できます。なお、特定のトレーナーを指名できる仕組みを設けている店舗もあり、指名に別途料金がかかる場合があります。当店では総代表の指名に別途1,000円をいただいています。料金の内訳に何が含まれるかはパーソナルジムの月額の目安と隠れコストで整理しています。
理学療法士の視点|代償動作
ここからは、医療の現場で使う見方をお伝えします。トレーナーとしての仕事の中で、いちばん差が出るのがこの部分です。
代償という言葉
リハビリテーションの現場では、代償動作(だいしょうどうさ・本来使う場所が働かず、別の場所が肩代わりする動き)という言葉を毎日使います。
例を挙げます。腕を真上に上げる動作では、肩関節だけでなく肩甲骨が上向きに回る動きが必要です。この回旋が足りない方は、腕を上げきるために腰を反らせて帳尻を合わせます。ご本人の感覚は「上がった」です。ですので、痛みが出るまで気づけません。首がすくむ形で肩に力が入り続ける場合の対処は肩こりの原因と対策にまとめています。
もう一つ。股関節が曲がる角度が足りない方は、しゃがむときに腰椎(ようつい・背骨の腰の部分)を丸めて深さを稼ぎます。この形で重さを持つと、負担は腰へ集まります。腰の痛みが出る仕組みは腰痛の原因と対策で詳しく扱っています。
代償は、本人にとっては「うまくできている感覚」で進みます。これが厄介な点です。外から見ないと分からないため、ここが同席する意味そのものになります。
逃がさないが先
指導の順番についてです。「効かせる」より先にやることがあります。逃がさないことです。
お尻に効かせたいのに太ももの前が張る、背中を使いたいのに腕が疲れる。これはどれも、力が別の場所へ逃げています。この状態で回数や重さを増やしても、逃げ先の負担が増えるだけです。
ですので当店では、初回に姿勢と動作を評価し、逃げ道をふさぐ姿勢を先に作ります。順番としては、可動域を出す→力の入る順番を整える→重さを上げる、になります。ここを飛ばして重さから入ると、フォームは崩れたまま固定されます。猫背の姿勢が先に整理されるべき理由は猫背のタイプ別の見分け方で書いたとおりです。
この考え方は、機械の軌道が決まっているマシンでも同じです。軌道が固定されているぶん、合っていない動きもそのまま続けられてしまいます。整体などの施術と運動をどう組み合わせるかは整体とジムの違いと使い分けを、病院のリハビリを終えた後の進め方は病院卒業後の3つの選択肢をご覧ください。
受診すべきサイン
次にあてはまる場合は、運動より先に整形外科など医療機関へご相談ください。パーソナルジムは医療機関ではないため、診断や治療は行えません。当店も同じです。
- じっとしていても強い痛みが続く
- 手足のしびれがある、力が入りにくい
- 関節に熱をもっている、腫れや赤みがある
- 夜間に痛みで目が覚める
- 発熱や、思い当たらない体重減少をともなう
すでに受診されている方は、禁止されている動作や重さの上限をお持ちください。その範囲の中でできることをご提案します。女性の方で産後から再開される場合の順番は女性のパーソナルジム選びの基準もあわせてご覧ください。
まとめ
パーソナルトレーナーは、教える人ではなくその場で判断を出す人です。見ているのは、動く範囲・止まる場所・左右差・力の入る順番・翌日の残り方の5つ。資格が示すのは学んだ範囲であって、指導の技術そのものではありません。ですので、体験では「今日、私の身体で何を測りましたか」「今はやらないほうがよい動きはありますか」の2つを聞いてみてください。担当を固定できるか、替えたいときにどう伝えるかも、入会前に確認しておくと安心です。
武蔵浦和のパーソナルジムLIMITED武蔵浦和店は、JR武蔵浦和駅から徒歩3分のジムです。さいたま市南区・中浦和・南浦和・北戸田・戸田市エリアから、デスクワーク中心の方や子育て中の方が通われています。トレーナーは全員が医療系国家資格「理学療法士」を持ち、加えて全米エクササイズ&スポーツトレーナー、JATIトレーニング指導者、PHIピラティスインストラクターなどの資格を持つ者が在籍しています。初回は姿勢と動作の評価から始め、いまやることとまだやらないことを分けてお伝えします。通い放題プランではトレーニングに加えて整体・ボクササイズも追加料金なしで受けられるため、その日の身体の状態に合わせて配分を変えられます。詳しくは通い放題パーソナルジムのメリットとデメリットと、理学療法士が担当するジムの特徴をまとめた理学療法士のいるジムと普通のジムの違いをご覧ください。
ウェアのレンタルとウォーターサーバーがあり、手ぶらで通えます。キッズスペースもあるため、お子様連れでもご利用いただけます。営業時間は8:00〜22:00です。
自分の身体で何が起きているかを一度見てもらいたい方は、60分の体験トレーニング(5,000円・税込)で姿勢と動作のチェックを受けてみてください。ご予約は下のボタンのほか、公式LINEから24時間受け付けています。運動が初めての方も、まず測るところから一緒に始めましょう。
よくある質問
パーソナルトレーナーに資格は必要ですか?無資格の人もいるのでしょうか。
法律上、パーソナルトレーナーを名乗るために必須とされる資格はありません。ですので、資格を持たずに指導している方も実際にいます。ただし、資格が無いことと指導力が低いことは同じではありません。逆に、資格があるから安心とも言い切れません。お客様の側で確かめやすいのは、資格の名前そのものより「その資格で何を学んだか」です。体を評価する手順を学ぶ資格なのか、運動処方の作り方を学ぶ資格なのか、栄養が中心の資格なのかで中身は変わります。体験のときに「その資格ではどんなことを学ばれたのですか」と一言聞けば、答え方でおおよそ分かります。なお理学療法士は医療系の国家資格で、養成課程の年限と学ぶ範囲が法令で決まっている点が民間資格と異なります。
毎回同じトレーナーに見てもらったほうがよいですか?
同じ人が続けて見るほうが、前回からの変化を拾いやすくなります。動きの左右差や可動域の変化は数値に出にくく、記録より記憶のほうが早く気づけることがあるためです。一方で、担当が替わることに利点もあります。別の人の目で見ると、担当が見慣れてしまった癖に気づくことがあります。おすすめは「基本は同じ人・ときどき別の人にも見てもらう」という形です。多くの店舗では担当を固定する仕組みや、特定のトレーナーを指名する仕組みが用意されています。指名に料金がかかる場合もありますので、入会前に固定できるのか、替えたいときにどう伝えればよいのかを確認しておくと安心です。
腰や膝に痛みがありますが、パーソナルトレーナーに見てもらえますか?
痛みの原因を判断するのは医師の役割です。パーソナルジムは医療機関ではないため、診断や治療は行えません。当店も同様です。そのうえで、医師から運動の許可が出ている範囲であれば、痛みが出ない動かし方を組み立てるお手伝いはできます。具体的には、痛みが出る動作と出ない動作を分け、出ない範囲の中で使える場所から動かしていきます。じっとしていても強い痛みが続く、しびれや力の入りにくさがある、関節に熱や腫れがあるといった場合は、運動より先に整形外科などへご相談ください。すでに受診されている方は、禁止されている動作や重さの上限をお持ちいただければ、その範囲の中でご提案します。
